桜庭学園から私の家までは、そう遠くない。
私の家の庭を見ると、お手伝いさんが盆栽を片付けていた。
それにしても……無駄に広い庭だ。
家もだけど。
「真田さん。ありがとうございます。」
「あ、愛海ちゃん。おかえり。
盆栽とバラを交換しようと思ってね。」
「バラ……ですか。」
「愛海ちゃんは、ローズマリーの方が好きなのよね。」
そう。
意外だと思うが、実は私、花が大好きなのだ。
そして、1番好きなのがローズマリー。
純から初めて貰ったプレゼントでもあったんだよね。
「でもいいんです。
バラで。」
「そうなの?
あ、松山さんがバラを花屋さんに貰いに行ってるからね。」
「はい。」
松山さんとは、もう1人のお手伝いさんだ。
実は私、美村 愛海は美村株式会社社長の娘だ。
そして……跡継ぎでもある。
で、この家にはお手伝いさんが6人いる。
そのうちの2人は男の人だ。
確か、20〜25歳だったかな。2人とも。
あとの4人はみんな30〜50の間。

