なるべく人目を避けてホテル街を歩くってのは難しいもんだ。
時間も時間だから私の学校の生徒もうじゃうじゃいる。
一応変装はしてるけど、ばれそうで怖い。
「しっかり歩かないと……変な人だって思われる。」
でも、慣れないホテル街に1人で来るのはやっぱり緊張するもんだ。
そんな事を思いながら歩いていると、華夏君の家の前まで来ていた。
「普通に……入ればいいんだよね?」
よし!入ろう。
「こんにちは〜。美村 愛海です。
華夏君いますか?」
ホテルの受付の人に聞いてみた。
「えぇ……いますけど、今はお取り込み中だと思います。」
30代前半の女の人が呆れた顔で言う。
お取り込み中?
それってもしかして………
「3日前くらいから、よく女の子を連れてきては部屋を借りて行くんです。
どうしたんでしょうね。前はこんなことするような人じゃなかったのに……」
予想的中。
でも………信じられないよ。
「……とりあえず、部屋の鍵を貸してください。」
「えっ………はい。これです。」
女の人の胸元には、【徳田】と書いてあった。
「ありがとうございます。
徳田さん。」
「名前………。
いえ、こちらこそ、なんかすみません。」
徳田さんが頭を下げたから、私も一応深く頭を下げた。

