「あ、千影?海ちゃん捕まえたよ?
千影も来て。話すよ、オレは....」
微かだが千影の声が電話の向こうから聞こえた。
教室はすぐそこなのに何故電話?
そして電話を切ったと同時くらいに教室から出てきた。
「黒崎さん....あのさ、あの...俺の彼女の話...」
「幼馴染なのだろう?それが何だね」
「黒崎さんの.....」
私の....?
“私の”で始まるなら姉しかいないだろう。
だが、何故この街に来たのに私は会ってないのだろう?
私が気が付かなかっただけか、それか.....
姉が会いたくなくて、来なかったか。
それのどちらかだ。
まぁ、待っていても来なかったのだから、しょうがないだろう。
ココで泣いてはいかぬ。

