【短編】毒舌美少女と犬系男子







休み時間、蒼空だけが来た。


そして、さっきの事には触れさせようとしてこない。


・・・・気になるのだが。



「....蒼空」




「ん?なぁに?」




「千影の幼馴染の名前を教えたまえ。」




「....海ちゃんには言えない。」




「そうか。では今度から蒼空の事を貴様と呼ぶぞ。」


我ながらヒドイと思う。


彼氏のことを貴様って呼ぶのはこの地球上で私しか居ないだろう。



「それでも、駄目なの。ごめんね?」




「もう、貴様など、知らぬ。」


声が、震えた。


そこまでして私に聞かせたくない真実なのだろうか....?


気づけば私は教室から飛び出していた。


どこに行くかも決めずにただ、ただ、走った。


今は蒼空に遭ったら泣き顔を見られてしまう。


それだけはどうしても避けたいことだ。