─────ル…。シル…。
誰だ…?
よく…聞こえない…。
誰かが俺を呼んでる気がする…。
──────セシル!!
「…ッ!?!
…何だ、夢か。」
俺は思い出そうと頭を回す。
──さっき見ていた夢は幼い頃のことだ。
…と、思う。
俺は記憶喪失…、らしい。
俺は度々に物事を忘れる。
その為、記憶喪失だと言うことも自分自身ではあやふやだ。
俺はあまり部屋から出ない。
周りの人は「たまには散歩しろ」等と
俺を催促するが、どうも外に出る事は気が進まなかった。
「うーん、目覚めが悪いな…。」
欠伸混じりに声を絞る。