────頭痛がする。




今日の目覚めは最悪だった。

窓の外は霧が舞い、
景色は少し黒がかった白に包まれている。



目覚めてみれば、この様だ。

部屋は散乱していて、花瓶も割れている。

体を起こす気力を削ぎ落とすかのように、
激しい頭痛が俺を襲う。



「面倒臭いなぁ…、全く。」



チクタクと時を刻む時計を覗くと、
針は午前5時を差している。

午前5時にしては、やけに外が明るい。

疑問に思って時計を凝視していると、
不意に、
秒ごとに時を刻んでいる針が止まった。


「…?」


激しい頭痛に理性を揺さぶられながら、
その針を眺めていると、
また不意に動き出した。


どうやら、電池が切れかかっていたようだ。

長年使っていたからだろうか?
まぁ、寿命というものか。

俺はベッドを降り、時計を手に取った。

時計を裏返し、電池を抜き取る。



「こいつも潮時か…。」


電池を持っている指の先を観ていると、
少しだが、頭痛が治まった。



「捨てるか。」











────そうだ。


俺らは何でも用が無くなったら捨てる。


そいつの意思も存在意義も関係無く。



まあ、
意思が無いのなら存在意義など無いだろうが。


悲しみなんて、感じない。



残酷だな。










そんなことを考えていたからなのか…。



治まっていた激しい頭痛が振り返してきて、
俺はそのまま意識を失った。