「あぁ〜....また追い出されたらどうしよう...ブツブツブツブツ」




一人、新選組(元壬生浪士組)屯所の前で独り言を呟きながら頭を抱えうずくまっていた。





「ぎゃあああああああああああっ!」




(ビクッ)






私の後ろで叫び声をあげたのは浅葱色の羽織を羽織った隊士だった。




今は陽も落ち、辺りは真っ暗だった。





静かにしようね?





「おばっ、おばっ、おばっ、お化けええええ!?」







「誰がお化けだ!誰が!」





「しっ、ししししし喋ったああああ!」




喋るわボケッ!





バタバタバタバタバタバタ





「どうした平助!?」




「何だ何だ?」




ほうら、面倒くさいことになったじゃん。





「お、お化けだ!」




ブチっ。






しつけえな




「だからお化けじゃねえっつってんだろ!」


 
「その声.......松村か?」




「やっと気づいてくれたんですか?土方さん。





「こんな遅くに何の用だ?」
  



「前回と同じです。」





「........入れ。」


  

私が屯所に足を踏み入れると後ろから話し声が聞こえた。




「あの女見たか?かなりの美人たったぞ?」




「見た見た!土方さんもやるねぇ!あんな美人捕まえて!」




........聞かなかったことにしよう。