「桜?入るよ。」 春は私の返事を聞く前に襖を開けた。 「春、どうしたの?」 「それを聞きたいのはこっちよ。どうしたの?桜。」 「私?私は何もないよ。」 「嘘。じゃあそれは何?」 それ、と春が指したのは私の頬につたった涙の跡だった。 「あ....あは、あぁこれ?これは欠伸したから!」 「桜、無理に話してとは言わないけど....話すだけでも少しは変わるよ?」