顔が動かない割りに正直に自分の気持ちを呟く少女。

「アンタも充分コワイわよ?」
皮肉を込めながら笑って、峯もベッドに腰掛けた。
ダブルベッド程の広さのそれは二人寝てもきっと余裕がある。

茉梨亜は寝転びながら先程の腹痛が治まっている事に気がついた。

(何で私峯と話したいとか思ったんだろ)

ふと自問してみたが、答えを考えるまでもない気がした。

「……峯は黒川が好きなんだよね?」

「そーよぉ」

手ぐしを通された紫の髪は、普段の峯に戻っていく。ストレートのボブカット。

「峯っておねーさんみたい」

「あははキモい事言わないで。おねーサンが妹とかを足蹴にすると思うの?」

「うん、だよね。でも……」

恋をしている同士、もし話が出来たら楽しいんだろうなと思った。
その恋の相手もこの場所も、酷く歪んでいるから有り得ない事だけど。