「何言ってるの?由香」

里子の低い声が聞こえた。

「由香に取り柄がないって!?

それってただ自分が自分から逃げてるだけで、自分のいいとこ見つけようとしてないだけでしょ!?

由香が自分でわからないんだったらさ…

聞きなよ…

私達が由香のいいとこ100でも1000でもみつけてあげるからさ。

私だって自分のことわかんないときあるよ!
人間だし!迷うことだってある!
後悔だってもちろんあるに決まってんでしょ!

…私は、由香が羨ましいよ?」

「え…?里子が…?」

振り絞った声は弱々しかった

「私ね、周りの顔を見すぎなんだ。

いつも明るいのはそのせい。ずっと笑っとけばなんとかなるっておもってるんだろーな…

でもさ、最近、よく考えるんだ。
何やってんだかなーってさ、

また笑ってすましちゃった。ってさ

由香はさ、自分の思ってることを口にして言うでしょ?
それが相手を傷つけるときもある

でもね、言われて初めて気がつくっていうのが多いんだよ?

そのまま人生を送るんじゃなくてさ、一回ビシッと言ってもらったほうがその子にとっていいこともある。

場合によってはその子を成功の道に進ませることができる。

それが由香の出来ることで、由香のいいところだよ?
うーん…難しいかな…」