麻里さんを連れてアパートへと帰り着いた。嬉しい予想外の出来事もあり、心がうきうきと弾み、そしてホクホク。だってさ、まさか家に招待してもらえるなんて思ってもみなかった。


「大丈夫ですか?」


「うん、疲れたけど、大丈夫」


焦る気持ちを必死に抑え、まだ松葉杖に不慣れな麻里さんをサポートしながら、俺たちの部屋がある2階へと階段をあがった。慣れない松葉杖で階段を昇るのはリスクが高いから、俺が荷物と杖を預かって、麻里さんには手すりに掴まって軽く左足を使って昇るように勧めた。自分の知識に感謝。俺でも麻里さんの役に立てるから。


ただやっぱり女の人には体力的には厳しかったらしい。少しだけ息切れしている。


「なんとか帰り着いたね。荷物もありがとう、鍵が入っているから貰っていい?」


あがっていた息が整ってきたところで、麻里さんに荷物を戻した。バックをがさがさと漁り、鍵を取り出し、ドアを開けた。俺は本当に一緒に居てもいいのかと、不安とドキドキで落ち着かず、そわそわと彼女の動きを後ろから眺めていた。


「拓斗君、入らないの?」


ドアの前に立ち尽くしている俺に、彼女は不思議そうな顔をしながら、俺に中に入るように促してくれた。


「……おじゃまします」


緊張からか口が渇いてしまい、とても小さな声になってしまった。こんな事では麻里さんに動揺が伝わってしまう。そんなの格好悪いじゃないか。


手遅れかもしれないかもしれないけれど、なんでもない風に装い、彼女に続いて初めて麻里さんの部屋へと足を踏み入れた。


……綺麗にしてあるな。これが玄関に入って最初の感想。


もちろん俺の部屋と造りが同じはずなのに、住んでいる人が違うだけでこんなにも雰囲気が変わるのかと驚いた。彼女の部屋はすっきりとシンプルにまとめられている。ごちゃごちゃと物に溢れているウチとは大違い。


「あんまりじろじろ見ないで」


「……すみません」



俺の視線に気づいたのか、麻里さんは苦笑しながら行った。しまった……今のは失礼な行動だった、注意されて当然。


松葉杖を片方ついて、片手は壁を伝いながら、麻里さんは部屋の奥へと進んでいき、俺もペースを合わせながらゆっくりと後を追った。