蒼の目の前で謝るのは御免だけど、坂下にはちゃんと謝りたいと思ってた。



だから、手紙を書いた。



授業中、生徒たちに問題を解かせている間、坂下は教室内を回る。



坂下が近くに来たとき、見えるように手紙を机上に置いた。



坂下は手紙の存在を分かってるくせに、私を一瞥すると…無視をした。



怒っているのなら、ちゃんと叱って欲しい。



無視されることほど、ツライものはない。



私には、耐えられない。



誰にも、坂下にさえ気付かれないように祈りながら、声を殺して泣いた。