バレンタインデーの放課後、私は廊下を歩く坂下を呼び止めた。



坂下は、私の手に提げている袋を見ると



「職員室…いえ、指導室に行きましょうか。」



そう言ったということは、私が呼び止めた理由なんて、坂下には分かっているのだろう。



指導室に入ると、坂下が口を開いた。



「ご用件をお聞かせ願えますか?」



「これを…受け取って下さい。」



私は、坂下にチョコの箱を差し出す。



それを見た坂下は、ため息をついた。