翌朝早く、重い心と身体を引きずって学校へ向かった。



他に誰もいない廊下で、右手に包帯を巻いた坂下に会った。



私は、それを一瞥する。



「なぜ、あれを取り上げようしたの?

坂下のバカヤロー!

お前なんて…、大嫌いだ!!」



ありったけの声で叫び、走り去った。



坂下なんかを切りつけた自分が悪いことくらい、分かってる。



だけど、言わずには…いられなかった。



坂下を傷つけてからというもの、自分を守ることができなくなった。



カミソリで傷つけようなんて、アイツに対してだって…するつもりは無かった。



あの行為が嫌で、私に近寄らせないようにしたかっただけ。



坂下の痛みに歪んだ顔…。



鮮血に染まった右手…。



カミソリに付着した赤黒い血…。



私の脳裏から離れなくて、アイツに対して脅しでカミソリを振るえないんだ。