坂下について行くと、地主神社に到着した。



ここに来ることは、ないと思っていたのに…。



坂下を見ると、私の視線に気づいたのか、振り向いて言った。



「ここに、来たかったのでしょう?」



でも、私は賭けに負けたのに…、いいの?



「先生、もう待ちくたびれたよー。」



タクシーに乗せろと言ったクラスの男子が、坂下の姿を見かけて声をかけてきた。



「女性の着替えには時間がかかるものです、覚えておきなさい。」



坂下の言葉で、男子たちが私に視線を移した。



「おぉーっ、アンジェが舞妓さんになってる!」



「写真撮りたい!」



私は男子たちに引っ張られるように、清水寺の方へ向かった。



あっ、ちょっと!



抵抗したかったけれど、着物では身動きが取れない。



もう、しょうがないからチョットだけ付き合うか…。



何枚か写真を撮ったら解放してくれたので、坂下のもとへ戻る。



「では、中に入りましょうか。」



坂下の言葉に、私は頷いた。