痴漢を取り押さえてる男子が2人、梨香を介抱してる男子が2人…。



この班、男子4人に梨香とアンジェだったよな?



「アンジェはどうした?」



「あっ!」



梨香についていた男子の1人が、忘れてた!とでもいうような声をあげた。



おいおい…アンジェに付き添おうって考える奴、誰もいないのかよ。



確かにダークエンジェルなんて異名つけられるくらい強そうなイメージあるし、実際にクラスのひ弱な男どもよりケンカ強いだろうけどさ、あれでも一応女だぞ?



「アンジェ!」



僕は発車ベルが鳴り響く中、電車に片足をかけて車内を覗き込んだ。



視界に捉えたのは、アンジェを抱きかかえるようにしてドアに向かって歩く、坂下先生の姿だった。



あぁ、この人が居たんだったな…。



坂下先生はホームに降り、痴漢を捕らえたのを確認すると、僕にこう言った。



「蒼先生がいてくださって、助かりました。」



「それは、僕のセリフです。」



坂下先生が居なかったら、アンジェを独りぼっちにするとこだった。