リビングに3人集まって、酒を呑む。(アンジェは未成年だから、ウーロン茶だ。)



「これは、あなたですね?」



坂下先生は、僕が貸した雑誌の1ページを示し、アンジェに言った。



「なんで分かったの?化粧して、ヅラ被ってるのに…。」



ってか、僕が貸したのはグラビア誌なんだけど!?



アンジェが載ってるページを見たら、お気に入りの下着姿のコだった。



コレがアンジェ?…勘弁してくれよ!



大きな声じゃ言えないけど、このコでヌいたこと…ある。



「何故、このようなことをしたのですか?」



「きっかけは、街でスカウトされたから。

お金が手に入れば、あの家出ることもできるし…。

こんな雑誌見る奴なんて限られてるだろうから、他のバイトよりバレないって思った。」



「では、他の先生方に気づかれないよう注意してください。」



「ちょっと、坂下先生…認めるんですか?」



「あの家に、アンジェを戻すわけにはいきません。

今の彼女に必要なのは、収入源ですから…仕方がありません。」



確かに…彼女同様、家が嫌いな僕は、反対するのをやめた。



「蒼先生、長いことありがとうございました。」



坂下先生はそう言って、僕に雑誌を手渡す際に小声で囁いた。



「アンジェのこと、かなりお気に入りのようですね?」



うわ…、僕の部屋に監視カメラでも付けてるのか!?



アンジェのことといい、坂下先生の洞察力はスゴイとしか言いようがない。



「坂下先生、僕は一生ついていきます。」



「一生…ですか?」



「坂下HRで、ずっと女房役やっていきたいです。」



「それは困りますね、私の定年まではあと十数年あります。

私が転勤するまでには担任が務まるようになっていただきませんと、蒼先生の指導係に任命された私の経歴に傷がついてしまいます。」



「経歴?そんなものクソ喰らえ!って思っている方が、何をおっしゃいますか?」



坂下先生はふっと笑うと、グラスの酒を呑み干した。