やっとウトウトとし始めたころ、私のケータイがけたたましく鳴った。



その電子音で、身体を起こす。



時計を見たら、とっくに日付が変わっていた。



誰よ?こんな真夜中に…。



ケータイの液晶には、『エロ教師』の表示。



蒼…?



余程のことがなければ、蒼はこんな時間に電話なんかしてこない。



何か、あった?



私は震える手でケータイを取り、上手く押せない通話ボタンにイラつきながらも、何とか蒼からの電話を受けた。



『アンジェ、今すぐ支度して家の前で待機してくれ。』



蒼はそれだけ言うと、電話を切った。



私は適当に着替えると、家の前に飛び出した。



程なく、スピードを出して走るシルバーのミニバンが向かってきた。



「乗れ!」



言われた通りに乗り込むと、蒼はすぐにスピードを上げて走り出した。



「蒼、どこ…行くの?」



「病院。」



身体の震えを抑えようと、両腕を交差させて自分の肩を抱きしめた。



「何で、わざわざ…こんな時間に?」



「みなまで言わせるな、分かってんだろ?」



思い当たる節が、ないわけじゃない。



だけど私は、それを除外したかった。