エスカーを乗り継ぎ、展望台へ行く…のかと思いきや、坂下はどんどん道を下っていく。



「展望台、昇らないの?」



「昇る前に、少し散策しましょう。」



坂下と散策してる途中、恋の南京錠というのが目に留まった。



ちょっとだけ待ってもらい、南京錠を買った。



坂下が嫌がらなければ、これに願掛けしたいな…。



このまま進んで行ったら…。



龍恋の鐘-



イブに盗み聞きしたあの言葉を、坂下は私にくれるの?



恋人同士で鳴らすと幸せになれるという鐘の前で、坂下が言った。



「そろそろ、引き返しましょうか。」



「どうして?」



「恋人たちの邪魔をしては、神様に叱られてしまいます。」



私たち、想いは通じ合っているんじゃないの?



私、期待してたのに…。



「じゃあ、なんで…ここに来たの?」



「ただの、散策です。」



私は、坂下の嘘が悲しい…。



「じゃあ、イブの院長との会話は何!?

先生は、私に平気で嘘つくの?」



悲しくて、涙が出た。



「聞いて、いたのですか?」



私は泣きながら、頷いた。



「アンジェ、私はあなたに嘘をついて平気だったことは一度もありません。」



坂下は私の涙を拭うと、辛そうな声で呟いた。