翌日、蒼が迎えに来てくれた。



なぜか、この近くで人気があるブティックの紙袋を持って。



「坂下先生から詳細聞いた、着る服無いと困るだろ?」



そういえば、昨日着てた買ったばかりの服は裂かれたんだっけ…。



蒼を病室の外に追い出して、紙袋の中から服を出して袖を通した。



スカート部分がタイトになってる、少し大人っぽい長袖のワンピースだった。



色が黒一色っていうのを除けば、結構好きかも。



自分の肌の白さが際立つのが嫌で、黒一色の服はあまり着ないようにしている。



病室を出ると、待ってた蒼が言う。



「さすが、坂下先生が見立てただけあるな。」



坂下が見立てた?



「入院前に見かけたらしくて、昨日頼まれて買ってきたってワケ。

アンジェ色白いから絶対似合うって言ってたけど、ホントだよなー。」



じゃあ、嫌なんて言い難いなぁ…。



坂下の病室に行ったら、診察中だったようで会えなかった。



蒼に促されて、車に乗り込む。



「クリスマスなのに、悪かったわね…。

リコとデートだったんじゃないの?」



「まさか、今日は梨香の両親の命日だからね。

それに…僕が仕事で手一杯なのもあるけど、梨香の受験が終わるまではデートしないことにしたんだ。」



「私が校長に直談判したから、リコにも寂しい思いさせちゃったんだ…。」



「別に、どうってことないさ。

梨香も僕も、それどころじゃないらしい。」



そう言うと、蒼はエンジンをかけた。