「アンタのお礼よりも、こっちのオトコのお礼の方が嬉しいわね。」



社長が、坂下に手を伸ばす。



いやーっ!それだけはやめてー!!



坂下の前に立ち塞がると、社長が言った。



「あら?私たちって…オトコの好み一緒なの?」



認めたくないけど、一緒。



「アンタみたいな小娘には、負けないわよ。」



よりによって、なんでオカマとオトコの取り合いを…。



社長がタバコを取り出し、口に咥えた途端



「どうぞ。」



坂下が、ライターで火を点けた。



ホストかっ!



…って、ツッコミ入れたくなる程の早業だった。



坂下は社長に、何かを耳打ちする。



その声は小さく、私には聞こえなかった。



「仕方ないわね、諦めてあげるわ。」



社長がそう言うと、坂下はふっと笑った。