「アンジェリーナ、アルバイトは少し控えていただけませんか?

あまり派手に仕事をされてしまうと、私どもは庇いようが無くなってしまいます。」



さっきまで黙っていた坂下が、口を開いた。



「控えるなんて、無理。」



坂下とは目を合わせないまま、答える。



「あなたがお金欲しさにアルバイトをしているわけではないことは、承知しています。」



坂下の言葉に、蒼が目を丸くした。



「金じゃなければ、何のためだ?」



蒼が聞いた時には、既に扉に向かって駆けていた。



だけど、教室から出る前に、坂下に捕まった。



坂下に手首を掴まれているだけなのに、身体中が熱い。



仕事に打ち込んでいれば、会わないでいれば、いつかは忘れられるんじゃないかと思ったけど…。



そんなことは、できるわけがなかった。



「今は、家を出たばかりの頃とは状況が違います。

他のアルバイトならばともかく、グラビアはすぐに止めなさい。」



できるわけ、ないじゃない。



バイトを続けていたら、こうして今みたいに気にかけてくれるでしょ?



あの時みたいに、無視されたくないの。



ううん、ホントは…『いつも愛されたい』の。



「だったら私を、先生の愛人にして。

そしたら、あんなバイトいつでも辞めてあげるわ!」



私は無理を承知で、坂下に言葉を投げつける。



坂下の手が緩んだのと同時に、私は教室から出て行った。