ただ、木野と過ごすこの時間がかけがえのないものに思えて、たぶん幸せってこういうことを言うのだろうとぼんやりと思った。



「なあ、結斗って呼べよ。」


ふいに紡がれた声に、さらに私をギュッと抱きしめる木野。

その仕草に木野の緊張が少し伝わってきて、なんだか安心した。


木野と私、同じなんだね。



「……木野。」


「……おい、バカにしてんのか?」


「だって、急には呼べないし…」




そう言うと、木野は不満げな顔をしたけれど人間、染み付いた愛称はなかなか変えにくいものだ。



「……なあ」


「……なにさ」


「……お願い、一度だけ、呼んでよ。慣れるまでだなんて、待てねえ。」




きゅん…

そんな子犬みたいな顔しないでよ、


つくづく愛しいな、と思う。