「え…? ……わっ、ちょっと木野?」
いつになく低い声を出した木野は、席を立ったかと思うと私の手をぐっと掴んで教室の外へ連れ出した。
予期せぬ事態に頭が上手く働かぬまま、木野が足を止めたのは階段付近だった。
もうすぐ始業ということもあってか人気は全然なかったけれど、今の私にはあまり問題ではない。
ドキン、ドキン……
何も考えられないくらい、ドキドキしてる。
もう、心臓が破裂しそうだよ……。
私の手を離した木野を見つめていると、木野はばつの悪そうな顔をしながら、ごめんとポツリと口をこぼした。
「もうすぐ始業なのに連れ出したりして…はぁ、何やってるんだろ、俺」
でも、あのまま見ていられなかった。と視線を落としてかすれるような声を出した木野に胸がぎゅっとなった。
「……それって、どういう意味?」
ああ、私少し自惚れてるのかもしれない。

