「………有澤くん?」
おそるおそる声を掛けてみると、俯いていた顔が弾かれたように上がった。
茶色く染められている髪がふわりと靡く。
「…………二谷さん、何でここにいるの?」
驚いたように目を見開かせる有澤くん。
いやいや、それを聞きたいのは私のほう。
「私は、たまたま駅まで近道しようと……というか穂乃花と一緒にいたんじゃなかったっけ?」
穂乃花に話したいことがあると言って、私が今日1人で帰ることになったのは紛れもなく有澤くんの所為。
なのに穂乃花はいなくて、有澤くんが1人ベンチって……不可解だよ。
「あ、さっきまでは一緒だったよ…だけど」
だけど?
何故か、言葉を濁す有澤くん。

