嘘つき、でも騙されてあげる

泣き出す私を卓斗は抱き締め、



『夢花もう何も言わなくていい。


夢花が俺を思ってくれてるのは知ってる。


須藤監督から聞いた。


野中さんと何度も別れようとした事も、


彼が病気になりずっと看病していたのもね。


監督が夢花の秀輝さんに対する気持ちは愛情ではないんだ。


僕に対する気持ちと同じような気がする。


夢花が愛してるのは卓斗だけだよと言われた。



監督の言葉で俺は夢花を諦めなくて良かったと思った。



もう充分だろう夢花。



これ以上苦しむのは止めて、俺だけを見てほしい。』


私は頷いた。