「ただいまー」

定食屋の裏口になっている家の玄関に入りキッチンに行けば、母が待ってましたと言わんばかりに話しかけてくる。

「雅也!どうだった?
品揃えはどう?安かった?」

「あー、安くて野菜も重くて悪くなさそう。でもすげー混んでたわ。」

領収書とレシートを渡し、買ってきた野菜を見せると、母は大喜びで袋を漁った。

「あらほんとに安いじゃない!
あんた、これから買い物はここでしてきてね。だいぶ助かるわ!」

「はーい…」



またあの人混みに行くのかとは思ったが、明日にはあの人混みも少しは止んでるだろう。

買ってきた野菜を冷蔵庫につめ、定食のキャベツを千切りにしていく。


また、あの少女はいるだろうか。
あの笑顔を思い出し、ふとそんなことを思った。