コンビニの駐車場に、海君の車があっ た。
「ヨウ待ってる間に、取りに行ってき た」
海君は言い、私を助手席に乗せた。
当然のように運転席に座る海君は、シー トベルトをし、繁華街に向けて車を走ら せた。
沈黙が、胸をしめつける。
いろいろと共通の話題はあるはずなの に、私は自ら会話する気になれなかっ た。
自分を振った女を飲みに誘うなんて、海 君の思考もよく分かんないや。
ああ、そうか。海君も男。あわよくばヤ レるとか考えてんのかな。
私達は、キスすらしなかったプラトニッ クな関係だった。でも、それは中学生の 頃の話。
もう、お互いに大人なんだ。何が起きて も不思議じゃない……。
この際どうなったってかまわないとヤケ になる一方、こうして海君との時間を更 新するほど中学時代の思い出が汚される ような気がして不快にもなる。
ダメだ。海君と体を重ねる私なんて想像 できない。それに、こんな行き当たり ばったりみたいな流れでそうなるのは、 絶対に嫌だ。
飲みに行くなんて断ればよかったと、頭 の隅で後悔しはじめた頃、居酒屋に到着 した。
若者向けの店らしく、客のほとんどが私 達みたいな大学生ばかりだし、店員さん もみんな若い。
窓際のボックス席に案内される。
私と海君は、向き合って座った。


