ケータイ小説『ハルシオンのいらない日常』 著:ヨウ


海君に塾行きを勧めたクセに、いざ、会 う時間が少なくなると、私は寂しさで胸 がつぶれそうになった。

ほとんど毎日会ってるのに、早く、会い たくなる……。


会えない日、海君は、毎日私の自宅用電 話に連絡をくれた。

『好きだよ。寂しくないからな』

海君に会いたくてたまらない私は、甘え てよく泣くようになった。

「今日も、朝までひとりだよ。

寂しい……。海君、会いたい」

『大丈夫。明日は、学校終わったらすぐ 会いに行くから。

戸締まりちゃんとして寝るんだぞ?』

「うん……」

海君の塾では、受験対策のための拡大授 業を行うようになり、海君もそれに参加 していたことから、私達は前みたいに塾 の後頻繁に会うのが難しくなってしまっ た。

塾で、海君がウチに来れない日。

ひとりぼっちのアパートは心細過ぎて、 私はあまり眠れなかった。


海君の彼女になってから、私はどんどん 欲張りになっていく。

海君の時間を独り占めしたくなる。

周りに何を言われても……。


あと、ちょっとの辛抱(しんぼう)だ。

同じ高校に行ったら、毎日一緒にいよう ね!

そんな、強くも淡い願い事は、冬の訪れ と共に消えてしまった。

海君との交際は、あっけなく終わってし まった……。

ううん、私が一方的に『終わらせた』ん だ。