ケータイ小説『ハルシオンのいらない日常』 著:ヨウ


海君は再び、私を抱きしめてくれた。

「俺も、ヨウが好き!

毎日毎日、ヨウのことばっかり考えて る…!」


それ以来、私たちは付き合うようにな り、海君はちゃんと塾に通うようになっ た。

みんながケータイを持っている時代。

私は、金銭的な事情でケータイやパソコ ンを持てなかったけど、海君と付き合っ て初めて、そういうツールが欲しいと強 く思うようになった。

海君も、ケータイを持っている。

思いきって、お母さんに頼んでみた。

「ケータイ買ってほしいんだけど……。 みんな持ってるし、お願い!

食費、いまより少なくしていいから!」

「ダメよ。そんなの、学生には必要ない じゃない。

今まで欲しがらなかったのに、急にどう したの?

食費減らしたって変わらないわよ、ケー タイ代は高いんだから。

それに、お母さんの学生時代にはケータ イなんてなかったけど、やっていけてた わよ」

「うん。もういい」

この頃、お母さんには付き合ってる人が いたようで、軽くオシャレとかするよう になっていた。

疲れてたお母さんを見るよりマシだけ ど、自分の服にはお金をかけるのに私の ケータイはダメなんて、ズルいと思いム カついた。

それに、昔と今を一緒にしないでほしい と、反発したくなった。

昔はケータイがなくても良かっただろう けど、今は、持ってるのが当たり前。イ ンターネットが発達している情報化社 会。

昔と比べても、おかしなことになる。


イライラしながら、その日は眠りについ た。