ケータイ小説『ハルシオンのいらない日常』 著:ヨウ


海君は、説明してくれた。

塾をサボっていた理由。

塾の月謝は、毎月専用の封筒に入れて、 塾長に手渡しすることになっている。

海君は、その月謝を塾長に渡さず、私と 遊ぶためのお金にしたそうだ。

「バイトできたらいいけど、中学生じゃ まだ、どこも雇ってくれないし、そうす るしかなかった……。

本当のこと話したらヨウは絶対気を遣う と思って、今まで黙ってた。

ウソついて、ごめんな……」

「ううん……。私も、何も知らずに責め て、ごめんね……」


海君が全てを話してくれた。

申し訳ない気もしたけど、私のためにそ こまでしてくれたのはとても嬉しかっ た。


「傷つけるつもりなかったんだ。ただ、 ヨウの元気な顔が見たくて、張り切って て……。

俺、ヨウの特別な人になりたかった」

「もう、なってるよ」

海君の目がまっすぐすぎるから、ドキド キしてきた。

それでも、私は言った。

「私、海君のこと、好きだよ。

だから、毎日会いたいし、私のために塾 サボってくれて嬉しかった。

でも、やっぱり、このままじゃまずいか ら、塾は行った方がいいよ……」