ケータイ小説『ハルシオンのいらない日常』 著:ヨウ


涙が出てきた。

こんなことを言ったら、海君に嫌われ る?

もう、一緒にいられなくなる?

こうやって、料理を作って楽しく話した りとか、できなくなる?


急に、何もかもがこわくなった。

受験生でいることや、勉強を捨てられな い立場だということ。

心はじゅうぶん大人のつもりだったけ ど、実際には15歳の子供でしかないと 思い知らされた。

海君に恋をするだけで、私にはそれ以外 の力は何もない。


海君……。


突然、身体中があたたかくなった。

泣きじゃくる私を、海君が抱きしめたん だ……!

身体だけじゃなく、心まで包み込んでく れる海君のぬくもり。

どんな綺麗な言葉よりも胸にしみた。


「ごめん、泣くほど悩ませちゃったんだ な……。

ヨウにだけは、本当のこと、話す……」