ケータイ小説『ハルシオンのいらない日常』 著:ヨウ


私たちは、一緒にいたらいけない?

ただ、好きなだけ。

二人でいたいだけ。

考えていたら涙が出てきた。


その日も、海君はいつも通り私の家に来 た。

「今日は、オムライス作るぞー!」

元気に言い、腕まくりをする海君。

オムライスは、私たちの好物だった。

いつもなら、一緒に「やったぁ!早く作 ろ?」と喜ぶのに、私は笑えなかった。

今日は、海君の塾がある日。そのはずな のに、海君は制服のまま。家に帰ってな い証拠……。

「ん? どうした、ヨウ。

元気ない?」

海君は私の顔をのぞきこむ。

「もしかして、さっきの職員室のこと気 にしてる?

ちょっとな、担任と、進路のことで意見 が合わなくてさー」

訊いてもいないのに、海君はそんなこと を言う。

優しいね……。知ってるよ。私のことで 先生とケンカになったんだよね。なのに 海君は、私を責めない。

いつもみたいに笑ってくれる。

それがなんだか、悲しかった。

嬉しいのに、胸が痛い。