ケータイ小説『ハルシオンのいらない日常』 著:ヨウ


職員室を抜けた後、通学路を歩きながら 考えた。

海君の担任が言っていたことを。

『人にはな、それぞれ立ち位置ってもの がある。

雨宮さんと海瀬では、違い過ぎる。

君が海瀬とは友達だというのなら、あい つの受験の応援をしてやるのが本当だろ う?』

私は、関わるだけで海君の足を引っ張っ ていたの?

先生の言ったことに、すんなりうなずけ ない。むしろ、反発心が湧いてくる。な んで、説教されなきゃならないんだ、 と。

でも、無視もできなかった。

海君が塾をサボってるなんて、初めて 知ったから。海君の親が学校にまで連絡 するなんて、よっぽどのこと……。

思い返せば、あれ?と思うことはたびた びあった。

夏休みは毎日私服だったから気にならな かったけど、二学期に入ってから、海君 は毎日制服で会いに来てくれた。

塾のある日、海君はいったん私服に着替 えて、塾の後に私の家に来る予定になっ ていたし、春まではそうだった。

なのに、最近は、やたら早くウチに来る ようになったし、格好も制服のまま。

一緒に買い出しをする日もあったけど、 私に気を遣わせたくないと言い、海君が 食材を持ち込んでくることも増えた。

嬉しくて、楽しくて、海君がどんな生活 をしているかなんて、考えれてなく て……。


海君の成績が下がったのは、私のせい?

大人に黙って塾をサボってるのも、私に ご飯を食べさせるため?