出来ることなら、海君のそばにいたかっ た。

中学で海君と出会い、私は毎日が幸せ だった。現在(いま)よりも、ずっと ――。

あの時の約束を果たし、海君と同じ高校 に行きたかった。そしたらきっと、私の 今までの人生は変わっていた。

私は、海君のことが大好きで、一緒にい る時間はいつも早く過ぎてしまう。

ケンカしたこともあるけれど、それすら 良い思い出と言える。


いつまでもいつまでも、海君の隣にいた かった。

学校内で信じられる人なんて一人もいな かったけど、海君のことだけは信じて た。


そんな私達が別れることになったのは、 中学3年の秋。

みんなが、受験に対してますます熱を上 げた頃。

相変わらずクラスで仲の良い友達なんて できなかったけど、内申書を気にして か、浮いた私に話しかけてくる女子が増 えた。

表面的に仲良くしてますと見せかけて、 先生への印象を良くしたかったんだろ う。

私は、そうやって利用されていることに 気づき「なんだこいつら。気持ち悪」と 内心毒を吐きつつも、彼女達の仲良し ごっこに乗ったフリをした。

内申書に変なことを書かれたくないの は、私も同じ。

海君と同じ高校に行くため、出来るだけ 学校で問題は起こしたくなかった。


不本意半分、打算半分の私の心がけとは 裏腹に、間接的な問題が起きてしまっ た。

私は直接は関わっていないけれど、海君 が、担任の先生とトラブルを起こしたの である。