いつも通り公園まで来てくれた海君に、 私は意を決して言った。
「暑いし、ウチに来る?
海君、自転車で来てくれてるし、私より 汗かいてる」
「えっ……!」
海君は手の甲でこめかみを拭い、動揺し ていた。
「助かるけど、でも、家の人に迷惑がら れない?すぐ、夜になるし……」
「大丈夫。お母さん、仕事行ってて、朝 まで帰ってこないし」
背後から、セミの鳴き声と木々のざわめ きが聞こえた。
私は、どんな顔をしていたんだろう。
海君は寂しそうな声で、「そうだったん だ……。ヨウんち、おばさんいないんだ な」と言うと、
「わかった。なら、ヨウんち行く!
勉強やって、一緒に飯作ろ!」
「め、めしっ!?」
つい、聞き返してしまう。
「だって、ヨウ、ひとりなんだろ?
いっつも、夜飯どうしてんだよ」
「お茶漬けとかカップラーメン、適当 に。楽だし」


