みんなが私の陰口を言う中で、海君はい つも、普通に接してくれた。
海君とは恋人とか彼氏とかそういうの じゃないのに、周りは勝手に「付き合っ てる」とウワサする。
「ブスのクセに男に興味あるなんてキモ い」と、女子から聞こえるように悪口を 言われた。
海君は、ウワサなどあまり気にしないタ イプみたいで、
「俺は別にかまわないけどな、ヨウとウ ワサになっても」
と、動じることなく堂々としてたけど、 私は気が気じゃなかった。
「でも、このまま私と関わってたら海君 まで悪く言われるよ? 平気?
私すごい性格悪いから、もし私が海君の 立場になったら、私を避けちゃうと思 う」
海君に離れていかれるのは嫌だったけ ど、これも本音。
私は海君みたいに強くないから、自分の 立場が悪くなりそうな状況になったら、 即座に逃げるだろう。
考え込む私の横で、海君はスネたよう に、熱のこもった声でこう言った。
「俺ら、友達だろ? そうやって損得勘 定でくっついたり離れたり~なんて、出 来るわけないじゃん。
そうしたら、ヨウのこと仲間外れにした やつらと一緒になるし。
俺は、付き合いたいヤツと付き合う。そ こんとこは、ヨウにも口出しされたくな い」
悩み相談した日から約1年後のこと。
そうは見えなかったけど、多分、海君は 怒っていた。


