ケータイ小説『ハルシオンのいらない日常』 著:ヨウ


学校では、軽い嫌がらせや悪口を言われ るようになった。

体育の準備体操の時にペアを組んでもら えなくなったり、先生から私への伝言を 伝えてもらえなかったり。

当時の私は傷つき、よく、トイレでこっ そり泣いていた。

すぐに「死にたい」と言うお母さんに腹 が立つこともあるけど、この時ばかりは お母さんを責めれないと思った。

死にたい。死にたい。

生まれ変わって、新しい人生をやり直し たいと、毎日のように切望し、絶望す る。

ストレスを発散するかのように泣き止む と、ハンカチはびっしょり濡れて使い物 にならなくなっていた。

トイレで泣くと、普段押し込めている感 情をリアルに感じる。

お母さんを元気にしたい。

生きててもいいんだって誰かに言われた い。

自分の価値を感じたい。

嬉し泣きを体験したい。

死にたいなんて思いたくない。


胸がはちきれそう。

様々な想いを静かにしまい、再び廊下に 出ると、必ずと言っていいほど海君と出 くわす。

「トイレ? 俺も~」

気楽な口調で手をふり、隣の男子トイレ に入る海君。すぐに出てきて、

「中庭いこ。今日も眠いわ」

と、自然に私を促した。