空部!!忘れもしない。
中学時代に、大好きだったあの人と作っ た、二人だけの部活。
「海(うみ)君?」
「やっと分かってくれた! これでダメ だったらどうしようかと思ったって!」
ホッとしたのか、海君はカウンターから 手を離し、へなへなと床にしゃがみこん でしまった。
懐かしい、海君との再会。
海瀬海(かいせ・うみ)。彼は中学生の 時の同級生。そして、きっと死ぬまで忘 れられない、私の初恋の人だ――。
海君と離れて、もう、5年が過ぎてい る。あの頃はいろいろあったな……。
再会しても気付けなかったのは、海君が あまりにも変わっていたから。
中学時代、海君は根っからの不良だっ た。
原則黒髪の校内で、ただひとり、短髪を 派手に染めて目立っていた。夜中には、 歳上の先輩とバイクを乗り回し暴走行為 をしていたという噂もあったし、他校の 不良とケンカするのもしょっちゅうで、 先生達を困らせていた。
それなのに、今はどういうわけか、どこ かの雑誌専属モデルとして活躍してそう なくらい落ち着いた外見に変化し、凛と しながらもりりしい感じになっている。
「海君、いま、大学生?」
「ううん。高校出てからは働いてる。ヨ ウは?」
「私は、大学行ってるよ。今はほとんど 授業ないからバイトばかりの生活だけ ど」
久しぶりに会ったとは思えないくらい、 私達は何気ない話をしていた。中学生の 頃に戻ったかのように。


