ただ、ひとつ気掛かりなのは、帰 り道 だった。
昼間に比べ、バイトの終わる夜は人通り が 少なくなる。
バイト帰り、急いで自転車を走らせてい る と、車に乗った男性に声をかけられる こと がよくあるのだ。
そういう類の声かけは基本ぜんぶ無視し て いるので、今のところ大きな被害はな いけ ど、やっぱり怖い。
相手は男の人で、こっちは女。いつ、乱 暴 なことをされるか分からない。
ミチの言う通り、私はさえない女だ。
客観的に、かつ、無理矢理探した魅力を 挙 げるとすれば20歳という若さだけ で、他 は極めて平凡。
大学に入ってからはメイクもするように な ったけど、生まれながらに美人なコと は雲 泥の差だ。
やせてもいない、太ってもいない体。
自分ではそう思うし、体重も標準より下 で はあるが、ミチいわく「足が太い」ら しい 。面と向かってそう言われた時はか なりシ ョックだった。
そんな、女としての魅力に欠ける私でも 変 質者予備軍に声をかけられるのだか ら、男 性の心理はよく分からない。