やっぱり、か。最初からこうなるような 気はしてたんだ。
身体中から熱が引いていく感覚と同時 に、頬が熱くなる。
先生が制服姿の私と会いたくないと言っ ていたのは、職業上の問題もあるだろう けど、それ以上に、元カノに『新しい彼 女といるところ』を見られたくなかった からだろう。
その人にヨリを戻したいと言われたのは 一ヶ月前。その頃、先生はなに食わぬ顔 で私を抱いてたよね。車の中や、ラブホ の浴室で。
我慢できないというように、車の中でも 私の体をベタベタとしつこく触ってき た。
私は元カノの代わりだったのか……。
ううん、代わりにもなれていない。心な んて最初からつながっていない、体だけ の関係。セフレじゃん。
「今までありがとう。夜空も、幸せにな れよ」
私を家まで送り届けると、先生はもっと もらしい別れのセリフを吐いて去って いった。
ただでさえこっちは不愉快な気分なの に、変に綺麗な言葉で別れを美化しない でほしかった。
深層心理に根付いた病気みたいなものな のかな。先生にフラれて、私は悲しかっ た。
好きでもないのにね、変なの……。どう してこんなに胸が痛むの?
たしかに私の心は傷つき、からっぽに なってしまっている。
昔から、愛情に飢えていたせいかもしれ ない。
相手が誰であれ、私は『別れ』というも のが大の苦手なんだ、と、その時ハッキ リ自覚した。
一週間くらいで寂しさは癒えたけど、今 まで定期的に来ていた先生のメールが パッタリこなくなった時には、さすがに 動揺した。
男性と交際していない空白の時間に、な かなか慣れることができない。
本気じゃない人と別れてこんな風になっ てしまうのなら、運よく両想いで付き 合った相手との別れが訪れた時、私は死 んでしまうかもしれない。……なんてこ とを、その頃はしょっちゅう考えてい た。


