『もっと違う内容を期待してます。』
読者さんからもらったその一文が、何度 も 何度も頭を巡り、他のことが全く考え られ なくなった。
違う内容って、何?どう書けば、そんな 小説が書ける!?
自室のパソコンに向き合ったまま、固 まってしまう。
私は、考えた。
似たような話ばかり。読者さんにそう思 わ れてしまうのも仕方ない。たしかにそ の通 りだから。
私の理想を詰め込んだ物語。夢のような 日 常をつらつらと書いていくだけの小 説。
今の生活が変わらない限り、私の理想も そ のままだろう。それだけは分かる。か とい って、現在の暮らしを大幅に変える ような 行動力や器用さなど、私は持ち合 わせてい なかった。
じゃあ、どうしたら違う雰囲気の作品が 書 ける?
そっか。自分の体験を元に、フィクショ ン 小説を書くという手がある!それな ら、今 まで書いたどの恋愛小説よりもリ アリティ ーが出るだろうし、読者さんの 望む『今ま でと違う内容の恋愛小説』が 書けるかもし れない。
目をつむり、私は過去の恋愛のことを思 い 返した。
ミチとつき合う前の、元カレ達の存在 を……。


