ケータイ小説『ハルシオンのいらない日常』 著:ヨウ


中には、泣きたくなるほど厳しい 書き込 みもあった。

《こんな作品が上位?このサイトもオ ワッ タな。》

《つまらないです。》

《文章下手。こんなの読むなら、本屋に 売 ってる本読むし》

《しょせん自己満小説w》

目に見えない読者さんの存在は、良くも 悪 くも、私の心を揺さぶった。

《もう、作品書かないんですか?》

《返事ください!》

小説サイトの確認をする一方、ケータイ の 方にきたメールを見ると、ミチから無 機質 なメールが届いていた。

《金かして》

最近ミチは、お金に困っている。


現実(ミチとの関係)と、バーチャル世 界 (小説サイト)のギャップは激し過ぎ て。


ミチには返信しなかった。ケータイは ベッ ドの上に放り投げ、私は自室のパソ コンに 夢中になった。

初めて、こんなにほめられた。

今まで、けなされることに慣れていた私 は 、読者さんの励ましや期待の声に、こ れ以 上ない幸せを感じた。

面白い作品を書かなきゃ!

みんなが、私の書く甘い物語を期待して る !

読みに来てくれる人の期待にこたえな きゃ !

面白い話を書かなきゃ!

ランキングの順位は、私の存在価値も同 然 なんだから!