「俺、すごい後悔した。ヨウがあのア パートから居なくなった後、涙がとまら なかった。伊織のこと、ヨウにはちゃん と話すべきだったって……」
「もういいよ……。
今さら何を聞いたって…私はあの頃と同 じ対応をしてしまうと思うから」
海君を好きなほど、海君が私以外の人に 親身になることを許せなくなる、心の寂 しい人間なのだから。
「ヨウは、まだ、何も知らない。
俺の話を聞いてほしい。その上で、もう 一回ちゃんと考えてほしいんだ」
海君は真剣だった。
「伊織の母親は……。殺人の罪で、昔警 察に逮捕された」
「えっ!?」


