ケータイ小説『ハルシオンのいらない日常』 著:ヨウ


「俺、すごい後悔した。ヨウがあのア パートから居なくなった後、涙がとまら なかった。伊織のこと、ヨウにはちゃん と話すべきだったって……」

「もういいよ……。

今さら何を聞いたって…私はあの頃と同 じ対応をしてしまうと思うから」

海君を好きなほど、海君が私以外の人に 親身になることを許せなくなる、心の寂 しい人間なのだから。


「ヨウは、まだ、何も知らない。

俺の話を聞いてほしい。その上で、もう 一回ちゃんと考えてほしいんだ」

海君は真剣だった。

「伊織の母親は……。殺人の罪で、昔警 察に逮捕された」

「えっ!?」