精神不安定で、その境遇ゆえに海君を頼 る伊織さんのことが大嫌いだったし、こ うして嫉妬している自分自身も苦しかっ たし、私だけの海君でいてくれない海君 にも憎しみが湧いた。
どうしたらこの醜(みにく)い感情が消 えるのか分からなくて、毎日寝ずに考え ていた。
大切な空部の活動。海君との高校生活。 海君との未来。全てを捨てることでし か、この苦しみから逃げる方法はないと 気付いたのは、高校入試の日だった。
私はわざとメチャクチャな回答をするこ とで海君と同じ高校に受からないように した。海君には何も相談せず、滑り止め で受けた私立高校に進むと決めた。
そのことで多少お母さんに小言を言われ たけど、伊織さんと海君の関係に嫉妬し て苦しくなるよりは何倍もマシだと思っ た。


