けれど、リリの慌てる様子はなく
パンチを最小限の動きで避けたかと思うと
バランスを崩した男に回し蹴りを決める。

そして、横腹を狙った蹴りを受け止め
つかんでそのまま投げ飛ばす。


男たちを無駄のない動きで
次々と一撃で気絶させていく。


数分もすれば立っているのは1人。
リリだけだ。



「てめ…くそっ…。」



最後の1人が顔を悔しそうに歪めたかと思うと
意識を失った。



そんな姿を一瞥し、リンチされてた男の子に
目を向ける。

身体中アザだらけで地面に倒れている男の子は唖然としていた。


リリ「気を付けて帰れよ。」


大丈夫だろうと思い
そう言って立ち去ろうとしたら
男の子は、はっと我に帰った。


「助けてくれて、ありがとうございました。
あの…何かお礼を…。」

リリ「…気にすんな。」

「え…いや、そんなわけには…。」

リリ「そんなことするくらいなら
早く家に帰れ。」

「…ありがとうございます。」



今度こそリリはその場を後にした。





「…ありがとう。…睡蓮。」