お店の名前が書かれた暖簾を潜るとソースのいい匂いが鼻に広がる。



「いらっしゃい」



空いてる席に二人で座り、壁に貼られたメニューに目を向ける。


何にしようかな。豚玉かな。でもエビも捨てがたい。それにしても安い。


これなら中学生でも全然出せる。
よしっ、決めた。



「決めた?」



「うん、松原くんも決まった?」



「俺はいつも同じだから」



店員さんを呼んで2人一緒に『豚玉』と口にした。まさか同じだなんて。




思わず顔を見合わせて笑う。