今日、君が結婚します

思い出しちゃいけない。だってこれは私が一番大切な松原くんとの記憶。



松原くんと過ごした中で一番ドキドキした甘い記憶。



その記憶を脱ぎ去るように彼と距離を取り助手席のドアを開ける。



早く冷たい空気を吸わなきゃ嫌でも思い出してしまう。



「お好み焼きの気分になった?じゃあ行こう」




彼も車を下りる。少し前を歩き、店内に入っていく彼をゆっくりと追いかける。あの日もそうだった。



隣に並ぶのが恥ずかしくて一歩後ろを歩いていた。ドキドキと胸を昂らせながら。