大和くんに促されて車に乗せられた。さっきの泉美からの電話も大和くんの言葉の意味も全く理解できていない。


それなのに、私がシートベルトを締めたことを確認した大和くんは車を走らせた。



「や、大和くん?」



「何も心配しなくていいよ。ちょっと泉美のおふざけが過ぎたみたいだから亜希子は何も話さず、ただ泉美の話を聞いててよ。ただし、さっきも言ったように車を降りたら俺たちは赤の他人。それは守ってね」



真っ直ぐ前を見てハンドルを握ったままそう言う大和くん。


おふざけ?赤の他人?
本当に理解できていない。



ただ、大和くんの言葉が言う通りにしろと言わんばかりに聞こえて私は俯いてコクンと頷いた。




「じゃ、俺は先に入ってるから。5分経ったらチャイムを鳴らして」