中は空間が広々としていて、白を基調とした部屋だった。
正面の窓際には机。
左右の壁にはベッドがそれぞれ置かれ、真ん中にはテーブルとソファーが陣取っている。
左側のベッドには、一人の生徒が腰掛け、本を読んでいた。
たぶんコイツが壬生 要樹…。
壬生が本から視線を上げ、俺を真っ直ぐ見る。
その目つきは鋭く、正直ちょっと怖い。
漆黒の髪が更にきつい印象を与える。
「えっと……今日から入寮します。藤倉 佐紀です。よろしく……」
ばんっと本を閉じて、壬生は立ち上がる。
立ち上がればその身長の高さが目立つ。
そのまま俺に近づいて、至近距離で見下ろされた。
俺より頭一つ分背が高い。
……やばい。
すっごい睨まれてんだけど。
「あのぉ……俺の顔に何か?」
「……部屋入るときはノックぐらいしろ。」
「え、あ、ごめん。」
壬生はそのまま俺の横を通り過ぎていく。
「こ、こら!要樹!姫様に何てこと言うんだ!!」
壱さんが龍さんの背中から、非難の声を上げる。
「姫だと?どう見たって男だろう。気でも違ったか?。」
壬生は鼻で笑い、その場を立ち去っていった。


